huHSC-NCGマウスは、ヒト造血干細胞(CD34+HSC)を重度の免疫不全マウスNCGに移植することにより、ヒト免疫系を再構築したマウスモデルです。
huHSC-NCGマウスヒト化モデルの実験設計フローチャート
薬康の優位性
集萃薬康が独自で開発したNCGマウスはゲノム編集技術でNOD/ShiltJGptマウスのPrkdc及びIl2rg遺伝子をノックアウトすることで取得した重度免疫不全系統です。NCGマウスはT細胞、B細胞、NK細胞欠損の特徴を持っており、今までに最も完全な免疫系不全マウスモデルであり、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)及びヒト造血干細胞(CD34+HSC)移植による免疫再構築に最適です。
NCGマウスにCD34+HSCを移植すると、免疫再構築効率は高く、主にT細胞、多数の未成熟B細胞、少量のNK細胞及びマクロファージを再構築し、様々な腫瘍の免疫治療薬の評価に利用できます。
業務詳細
1. NCGマウス骨髄破壊効果の測定
照射を受けていないNCGマウス 150cGysで照射されたhuCD34-NCGマウス
照射により、マウス骨髄における造血幹細胞を除去すると、ヒトHSC移植後の再構築レベルを改善できるので、照射後のNCGマウスをヒトHSCの移植に選択しました。フローサイトメトリーで照射による骨髄破壊効果を確認します。その中で、mCD45はマウスの白血球マーカー、mCD117は造血幹細胞マーカーです。上図は、照射後のmCD45 + mCD117 +細胞集団の割合が1.11%であり、非照射群(13.5%)より有意に低かったことを示しています。つまり、150 cGysの線量で6-7週間照射すると、NCGマウスは理想的な骨髄破壊効果が実現できます。
2. huHSC-NCGマウスの生存グラフと体重推移状況
マウス生存生長グラフ マウス体重推移グラフ
huHSC-NCGマウスの生存期間は37週間以上であり、生存率はNCG野生型マウスと有意差が認められませんでした。huHSC-NCGマウス体重は時間の経過とともに増加する傾向で、前期の体重はNCG野生型マウスと有意差が認められなかったが、huHSC-NCGマウスの体重が経時低下し、実験終了時に、huHSC-NCGマウスの体重はNCG野生マウスより有意に低かったです(***, P < 0.001)。データはMean±SEMで示されたものです。
3. huHSC-NCG再構築効果の特定
huHSC-NCGマウスマウスの免疫再構築効率は高く、主にT細胞、多数の未成熟B細胞、および少量のNK細胞を再構築します。
4. huHSC-NCGマウスにおけるヒト化16週目時のヒト化免疫細胞プロファイル
16週目に、huHSC-NCGマウスの末梢血をフローサイトメトリーで分析すると、huHSC-NCGマウス末梢血から複数種類のヒト免疫細胞を検出できます。そのうち、ヒト白血球の割合は20%以上であるため、本研究でのhuHSC-NCGヒト化モデルが成功に構築されたことを示しています。
5. huHSC-NCGマウスモデルに基づくin vivo薬力学的評価
huHSC-NCGマウスに基づくin vivo治療薬試験。対数増殖期のヒトリンパ腫細胞Raji細胞をhuHSC-NCGマウスに皮下接種し、腫瘍増殖平均体積が約40-50 mm3になったときに、無作為にVehicle群,Tri-TE投与群,Blincyto投与群に分け、対応の治療薬で治療を行いました。試験結果:Tri-TE群(TGI=62.04%)及びBlincyto群(TGI=51.14%)はHuHSCNCGのRaji細胞担癌マウスの腫瘍増殖に対して抑制効果が認められました。