huPBMC-NCGマウスは、ヒト末梢血単核細胞(Peripheral Blood Mononuclear Cell, PBMC)を重度の免疫不全マウスNCGに移植することにより、ヒト免疫系を再構築するNCGマウスモデルです。
huPBMC-NCGマウスヒト化モデルの実験設計フローチャート
薬康の優位性
集萃薬康が独自で開発したNCGマウスはゲノム編集技術でNOD/ShiltJGptマウスのPrkdc及びIl2rg遺伝子をノックアウトすることで取得した重度免疫不全系統です。NCGマウスはT細胞、B細胞、NK細胞欠損の特徴を持っており、今までに最も完全な免疫系不全マウスモデルであり、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)及びヒト造血干細胞(CD34+HSC)移植による免疫再構築に最適です。
NCGマウスでのhuPBMCの免疫再構成効率が高く、T細胞がメインです。huPBMC-NCGマウスは免疫再構築後に1ヶ月前後生存でき、様々な腫瘍免疫薬の評価に利用でき、理想的なGvHD評価モデルでもあります。
huPBMCドナーの来源は免疫再構築工程に影響を与えるので、集萃薬康はhuPBMC-NCG免疫再構築の安定性を確保するために、多くのhuPBMCドナーバンクを構築しました。
業務詳細
1. huPBMC-NCGマウスの生存グラフ
それぞれドナーFとドナーG由来のhuPBMCをNCGマウスに注射し、huPBMC-NCG免疫再構築マウスの生存期間を分析しました。移植されたPBMCが異種免疫細胞であるため、huPBMC-NCGマウスは時間の経過とともに移植片対宿主病(GvHD)を発症させます。つまり、ヒト免疫系がマウスの組織や臓器を攻撃し、最終的にマウスの死亡につながるため、huPBMC-NCGマウスの利用可能な期間を短縮しました。本研究では、NCGマウスがhuPBMCを移植された1ヶ月前後で次々に死亡したことが認められました。
2. huPBMC-NCGの免疫再構築速度が速く、再構築細胞は主にCD3+T細胞です
フローサイトメトリーでhuPBMC-NCGマウスのヒト化過程での末梢血におけるヒト白血球割合を測定しました。その結果、時間の経過とともに、huPBMC-NCGマウスの末梢血におけるヒト白血球の割合が徐々に増加し、3週目にヒト白血球の平均割合は50%を超えました。データはMean±SEMで示されたものです。
フローサイトメトリーでhuPBMC-NCGマウスの脾臓、末梢血及び骨髓におけるヒト白血球の相対含有量を測定しました。その結果、ヒト白血球のhuPBMC-NCGマウス体内にいける分布が有意な組織差異性が示され、ヒト白血球レベルは高い順で脾臓>末梢血>骨髓です。データはMean±SEMで示されたものです。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001。
3. huPBMC-NCGマウスに基づくin vivo薬力学的試験
それぞれ2つの異なるDonor来源のhuPBMC細胞でhuPBMC-NCGを構築し、PDL1高発現細胞株MDA-MB-231を接種することで、皮下担がんモデルを構築しました。PBMC接種後に、MDA-MB-231のNCGでの腫瘍形成率に影響します。腫瘍増殖平均体積が約100 mm3になったときに、無作為にVehicle(対照)群及Tecentriq投与群(n=5-6)に分け、対応の治療薬で治療を行いました。週に2回、連続で3週間投与し、Tecentriq等の標的PD-1/PDL1経路薬物の抗腫瘍効果の評価に利用します。試験結果によると、Tecentriqは腫瘍増殖に対し有意な抑制作用が認められました(PBMC-01 TGI=45.41%, PBMC-02 TGI= 56.96%)。データはMean±SEMで示されたものです。
4. huPBMC-NCGマウスに基づくin vivo GvHD薬力学的検討
マウスは再構築後に、猫背、毛立ちなどのGvHD表現型が認められます。
5. huPBMC-NCGマウスに基づくGvHDの薬力学的評価
huPBMCの尾整脈を照射処理後のNCGマウス(照射はGvHDの反応を加速できます)に移植し、GvHD薬で治療を行いました。試験結果によると、GvHD薬はhuPBMC-NCGマウスの生存期を伸ばし、かつ投与量の増加に伴い、生存期を有意に伸ばし、体重を増やすことが認められました。